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個人的な人生日記

相場の心理学

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心理学の本を読んで株式相場について書きます。

 

心理についてのことがベースですが、株なんか興味ねーって人は文章中の真ん中の線から下だけ読んでください。

 

相場について考えるべきことは、売買ルール、資金管理、大衆心理の3つだと

 

言われていますが、その一つである「心理」についていろいろな本を読んでい

 

た時の1冊に、「錯覚の科学」という本を読んで考えたことです。

 

相場の世界では、買うか売るかしかなくても約9割の人が負けると言われて

 

おり、それはプロスペクト理論を始め様々な人間の心理などが関係している

 

とされています。

 

一般的に人は利益をすぐに確定してしまい、損失は引き伸ばしてしまう心理

 

が働くため多くの人が負けるといわれていますが、それ以外にも様々な心理的

 

要因や傾向が関係していると思います。

 

とは言っても、相場は大衆心理だけでなく、機関投資家の動きや経済、情勢

 

なども踏まえた非常に多くの要因で売り買いが行なわれているため、価格変動

 

心理的要因によるものだけとは思っていません。決算発表などの何かしらの

 

相場を動かすと考えられる材料で取引する人もいれば、チャートを分析して

 

取引する人もいる。過去の傾向や統計に基づいたシステムトレードをする人

 

もいれば、人間ではなくAIが取引することもある。また、日本の株式は半分

 

以上が外資によって買われているため、日本と海外の投資に対する考え方の

 

違いもある。偶然その時は買いが多かった、売りが多かったということも

 

十分にありえます。ある経済学者は、猿に目隠しをしてダーツを投げさせて

 

選んだ銘柄も、専門家が分析して選んだ銘柄も、運用成績に差はないと言っ

 

ているほどです。これは株価の値動きはすでに全ての材料を織り込み済みで

 

あるため、絶対に予測することはできないというランダムウォーク理論です。

 

相場は運に左右されるところもあり、価格がなぜ上がったのか、なぜ下がっ

 

たのかは、考えるだけ時間の無駄だと割り切れるところもあることは否定で

 

きません。でも、ランダムウォーク理論が本当であるなら、証券アナリスト

 

や証券マンの言うことは全て意味がないということになる。(実際私自身彼

 

らのいう事は無意味だと思っています)

※利益が上げられないという意味ではありません。

 

ランダムウォーク理論と対照的なのがダウ理論です。ダウ理論は、いったん

 

一方向へのトレンド(波)が形成されると、そのトレンドは反転が証明される

 

まで続くというもので、大衆心理で相場が動くと考えられているものです。

 

そのため人間の心理を勉強することは、相場の動きを考えることにも役立つと

 

考えています。

 

いずれにしても、プロスペクト理論を始め、多くの人に共通する考え方

 

があることは間違いなく、多くの人が負ける原因もそこにあると考えています。

 

例えば、損は早く切り、利益を伸ばせばいいということがわかっていても、

 

それを実行できるとは限らない。なぜなら損はしたくない、利益を確保したい、

 

というのは本能だからです。プロのトレーダーの多くが、人間の本能の逆を

 

やらなければ勝てないと言っているのはそのためです。心理学上、人間は本能

 

がない生き物らしいですが、完全にないわけではないと私は考えています。

 

人間は損をしたくないため損失を避けようとする行動をとってしまうことは

 

統計的にわかっており、多くの人が損切りできないというのがマーケット

 

から退場していくもっとも多いパターンだからです。つまり人間にもともと

 

備わっている本能的な部分が働くために、ほとんどの人が負けてしまう。

 

損失を小さく抑えて利益を大きくするということは、必然的に損失が出る

 

取引回数が多くなるため、本能とは逆の考えを持てばいいとわかっていても

 

精神的な負担が大きくなってしまい簡単にはできない。

 

普段の生活やこれまでの教育の中で、損失を早く確定して利益を伸ばす、

 

というようなことはほとんどないため、実践に移すことがとても難しく、

 

本能的になることがほとんどなのだと思う。

 

相場で負ける原因が確率的なものなのか、それともプロスペクト理論を始め

 

とした何かしらの心理的要因によるものなのかを考えることは十分に意味の

 

あることで、これを客観的に考え判断できるようにしなければならない。

 

心理学を学ぶことは少なくとも相場で勝つための優位性を高めることが

 

できると考えています。

 

 

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この本の様々な事例や考えが紹介されている中で、特に興味深いと思ったことは3つ。

 

1つは、目で見えていることとそれを認識していることは違うということです。

 

これは相場では大衆心理がどのように働くのかを理解することが重要だと

 

一般的に言われていますが、相場の動きを観察することにも役立つ。

 

人間の錯覚は視覚でも聴覚でも、慣れているモノや状況があると、それ以外

 

のことが認識できなくなることがあり、それはその瞬間に何を予想するかで

 

決まります。そこにあるはずがない、いるはずがない、つまり予想していな

 

いことは、たとえ視覚に入って目で見ているとしても、それを認識している

 

とは限らない。

 

人間の脳は、一つの事柄や目標物に集中しているときは、必ず他への注意が

 

おろそかになる。そのため相場の動向を分析するときは、常に何事も起こり

 

得るという意識を持つことが大切である。上がるか下がるかの動きしかなく

 

ても何十連敗もする可能性もあるし、明日トランプ大統領が殺されたら少

 

なからず相場に影響が出る。自分が保有している会社の企業の不祥事が

 

発覚するかもしれない。これはそれらの情報の見落としをなくすために

 

あらゆることにアンテナを張るべきということを言いたいのではないです。

 

心配事は気にしてもきりがなく、気にしても仕方のないことを気にするのは

 

複雑になるだけということです。常に何が起こるかわからないという意識を

 

持つことで、相場が想定外の動きをしたときに身動きがとれなくなることを

 

防ぐことができる。

 

2つ目は、自分の実力ほど客観視できないものはないという自信の錯覚です。

 

自信の錯覚には2つあり、一つは、自分の能力を過大評価する傾向、もう一つ

 

は相手の自信ある態度を相手の実力を測る手がかりにする傾向です。

 

これらは株や為替など金融市場の行動ファイナンスでは自信過剰バイアス

 

といわれ、自分の能力や判断に対して根拠のない自信を持ってしまうことで

 

情報分析力の過信や相場観の一方的解釈などによって判断を誤ってしまうこと

 

がある。

 

相場においても自分の能力を過信するバイアスが働くことで自分の判断は

 

間違ってないと思い込み、損失をカットできなくなることがあるだけでなく

 

株価がずっと上昇している強気相場では上がり続けているのを見て自信過剰

 

になり、買いが買いを呼び上昇トレンドの最後に急上昇する傾向があるのは

 

自信過剰バイアスが関係しているのかもしれない。自信過剰バイアスが働く

 

のは相場だけでなく、宝くじを買う理由もその一つである。宝くじは

 

控除率が約50%前後といわれており、これは確率的に考えると例えば

 

1000円分宝くじを買うことは、1000円支払って500円と交換して

 

いるのと同じことです。宝くじを買う人の中には買った枚数分だけ当選確率

 

が何倍にも上がると勘違いしている人もいますが、実際は買えば買うだけ

 

損をしています。宝くじを買っても当たる確率は限りなく低いとわかって

 

いても、自分だけは当たるかもしれないと思ってしまうのも自信過剰

 

バイアスの一種です。基本的に人は実際の実力以上に、自分を過大評価

 

して正しい判断ができると思い込みます。相場においての自信過剰

 

バイアスの対策は、このバイアスの存在を理解することと謙虚さを持つこと。

 

簡単にできることではないですが、自分の予測が正しいという思い込みを

 

やめること。自分の能力や知識を過信せず、常に判断に誤りや欠点、改善点

 

がないかなどを意識することで自信過剰や傲慢な考えを正すことができる。

 

3つ目は認知バイアスについてです。認知バイアスが関係して錯覚されてい

 

ることの事例として、寒い雨の日に関節炎が痛むのは嘘であることや、

 

セックスで若返るというのは因果関係がないなどがあります。前者について

 

関節炎に悩む患者は実は雨の日でも晴れの日でも痛みを感じることはあるが

 

痛みを雨の日だけ当てはめ、晴れの日の痛みは無視したということが実験で

 

わかっています。後者については、セックスと若々しさに相関関係はあるが

 

セックスで若さが保てるのか、若々しい外見だからセックスのチャンスが増

 

えるのか、説明はいくらでもできるため因果関係を説明することはでき

 

ないのです。

 

どちらの事例も、人は関係のない物事を無理やり関連付けてしまうことが

 

あるということを示しており、それは自分がすでに持っている思い込みに

 

合わせて考えてしまうからです。

 

これらの事例からわかることは、人は自分にとって都合が良くなる情報だけ

 

を選び、都合の悪い情報は無視してしまう傾向があるということです。

 

これは都合の悪いことや予期していないことに注意が向かないと言い換える

 

こともできます。血液型占いが当たると思ってしまうのもこれです。

 

都合の良い情報だけを選ぶという認知バイアスは、相場においては自分の

 

判断が間違いだとわかった時でもそれを無意識に正当化する理由を探して

 

しまうことになる。なので余計な情報探索はやめるなど自分で一定のルール

 

を決める事が重要になります。

 

 

 結局は過信や過大評価、思い込みといった言葉にまとめられる。

 

人の注意には限界があり、日常的に錯覚が起きるのは仕方のないことで

 

すが、その過信、過大評価、思い込みなどの存在を自覚する癖をつける

 

ことが誤った判断を減らすことに繋がってくるのではないかと思う。

 

以上。